Xデザイン学校 マスターコース 5回目

8/3(土)はXデザイン学校。今回は大手食品メーカーへの新規事業提案の中間報告を行いました。
僕たちのチームは大手食品メーカーがマンションデベロッパーとが協業して行う、マンションと一体化した食事・洗濯・掃除などの家事代行サービスを提案しました。
共働き世帯の増加や、複業・副業の増加とそれに伴う学び直しの必要性の高まりなどを考えると、一定の需要はありそうだと感じていましたが「弊社がやるよりも、マンションデベロッパー様が単独でやったほうが良いのでは?」という虎、、じゃなくてメーカーご担当者様のコメントで、今回もノーマネーでフィニッシュ。
とはいえ、まだ中間報告の段階ですので最終提案に向けて、何度も練り直しをすすめたいと思います。

今回の提案内容はコアになる部分が「マンションデベロッパーと組むのも有り」「東京の、子あり共働き世帯では家事代行を普通に使ってる」といった講師の佐藤さんのアドバイスに基づくものだったため、当初、個人的にはこの方向で進める事にあまり乗り気ではありませんでした。
それを、チームメイトに相談したところ、全員が同じような事は感じてはいることが確認でき、その上で「発表目前までテーマを詰め切れなかった自分たちの力不足、中間発表に向けてまずはサービスの内容を詰めよう」「アドバイスをサービスの落とし込めるかは自分たち次第」という方針を確認しあいました。
そういった経緯がありつつ望んだ今回ですが、やってみると予想以上に得るものがありました。

家事労働としての調理は、すべてアウトソーシングされる、はず。

以前ミレニアル世代の単身者に対するインタビューをした際「この人たち調理しないだろうな(調理自体に意味があればする)」と感じていたのですが、今回提案したサービスのターゲットとしたパワーカップルについて考えるなかで、その感覚がより深まり、将来的に家事労働としての調理はほぼ無くなるんだろうなという確信めいたものが持てました。

フードデリバリーサービスの発達を背景にしたキッチンスペースの縮小は世界的な潮流ですが、下記でも触れられているように、女性の社会進出との関連も大きいと感じています。

「キッチンのない家」がスタンダードに? 家族のあり方にも一石

労働力不足の観点(※)から女性の労働参加は今後さらに求められてきます。さらに「おとなの学び直し」が叫ばれるなど、ただ働くだけでなく、企業での労働以外に勉強や人的ネットワーク構築が必要だと言わる時代。
その一方で共働き世帯の家事負担率は依然として女性の方が圧倒的に高く、さらに政治家には少子化だから子供産めだの言われたりする…。
そんな状態で、特に都市部で働き生活する新しい世代が自分たちでわざわざ調理をするかと言えば、まずしないでしょう。社会としてそれを求めるのも酷ですしフェアじゃないです。
となると、男女で家事を分担するといった対処法が浮かびますが、わざわざいさかいの種をまくようなものなので、経済的に可能な範囲でアウトソーシングするのが現実的で平和的な解決法のように思えますし、現にそういう方向に進んでいるようです。

育休明けの家事・育児  無理しないで、プロにヘルプ!

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※(それを希望する)女性が男性と同じ条件で働けることは、憲法レベルで保証されている権利のはずなので、労働力不足で〜という理由を入口にする議論に違和感はあるが、伝統的な価値観に支えられた習慣はこういったきっかけがないと変わらないと思っている。

必要なのは時短ではない。
「便利で豊か」な生活をどう実現するか。

また「中国のコンビニからカップラーメンがなくなった」と浅野先生が仰っていたのが印象的でした。
注文すればできたての料理をすぐに持ってきてくれるんだから、お湯を入れ3分待つという「無意味な調理」が必要なカップラーメンなんてわざわざ食べない、、ということでしょうか。
袋麺かカップ麺か、レトルトカレーかインスタントカレーか、といった次元ではないですね。

調理をしない傾向は食品メーカーにとっては大問題ですし、女性の社会参加のために家事負担を減らす(なくす)は社会的な意義もインパクトも大きいように思え、
ここにきてやっと取り組むべき課題の取っ掛かりが見えてきたように感じています。

その解決法を探るにあたっては、家事をなくすために調理不要の完全食を食べましょう!みたいなディストピア的なものではなく、どうやったら便利で豊かな生活が実現できるかが大切だと思います。コーヒーを淹れるような「意味のある調理」もあるはずです。
そんなことを意識しつつ、サービスのブラッシュアップを進めていきたいと思います。

課題やターゲットが明確でない状態でソリューションを考えること。

メーカーご担当者様からの講評で「家事全般をサポートするサービスでトゥーマッチになっていないか」という指摘がありました。「足し算になっていないか」ということは毎回注意して進めているものの、ビジョンや課題が明確になっていない状態だとこの傾向に陥る可能性が高いように思えます。

ビジョンや課題が明確になっていないと「なぜそれが必要なのか(不要なのか)」を判断する基準がないため、誰かが発言したアイデアを吟味できず「一旦いれておきましょう」となることが多いように思えます。

課題を決めてからサービスを詰めるのが理想ですが、サービスの詳細を考えることで見えてくる事があり、そこからいかに高速でピボットしていくかが大事なのだと思います。
とはいえ「一旦いれる」を防いだほうが良いと思い、現実的な解としては「要不要の判断がつかなかったら却下」のような判断基準をチーム内で定めるほうがよいのかなぁと考えていました。

そろそろ収束しなくては。

昨年と比べて、悩むポイントもいくぶんマシになり、前半で色々と悩んだものが、やっと形になって返ってきているように感じています。
また、日々学び考える事で月一回の講義における体験の質が大きく変わる事を実感しています。

先日、ベーシックコースで同じチームで学び、今は東京のマスターコースで学んでいる友人と会って話をしたのですが、いろいろと悩みや感じている事が同じすぎて笑ってしまいました。
これはチームを組んだ直後に同じ衝撃を受けたことが原因だね、と話をしていたのですが、そろそろ別のステージを確立しないといけない時期だと感じています。

悩み発散し迷走したここ数ヶ月ですが、そろそろ収束して結果をださないといけないと思っています。残りの期間で良いものを残せるよう頑張っていこうと思います。

株式会社ナコード代表。 WEBサービスの事業会社や制作プロダクションを経て2018年に株式会社ナコードを設立。 主にWEBサイト・WEBサービス構築の領域で、UXデザインを活かした課題定義やプロジェクトマネジメントの領域で支援をしています。 人間中心設計専門家。