「課題定義」をテーマに、オンラインワークショップを実施しました

5/31(日)にXデザイン学校修了者の有志で、オンラインのワークショップを実施しました。 今回は、前回と同じくデザインスプリントの手法をベースに、課題定義のテーマにしたワークショップを行い、 その手法がどの程度有効か、今後の活動に活かせそうか意見交換をしました。

実際にクライアント役をお招きし、 消費者へのインタビューも行うなどなど盛りだくさんの内容でした。 詰め込みすぎで疲労感もありましたが、クライアント役の方と共創し、そこから学びを得るという、とても有意義な時間になったと思います。 

 やったこと

前回は数あるアイデアからどれを選ぶか、、といった「意思決定」をテーマにワークショップを実施しましたが、今回はその前段階の「課題定義」についてのワークショップを行いました。

「課題定義」とはなんぞや

例えば『理由はわからないがパートナーの機嫌が悪いのでなんとかしたい』という問題があるとします。実際はあなたの交際費がかさんで家計を圧迫していることが機嫌が悪いのに、高価なプレゼントをしてしまったら、逆効果、プロジェクトは失敗です。
こうした失敗を防ぐには、まず解決すべき事を的確に定義する必要がありますね、ということで、今回のテーマの「課題定義」が必要になるわけです。

先日話題になっていた「ミルクボーイがデザイン思考を説明したら」ではデザイン思考は「画期的なアイデアを思いつくことを目指すんじゃなくて、画期的な目の付け所を探るもの」という言葉で表現されていました。個人的には必ずしも画期的でなくても良いと思うんですが、目の付け所を探るという意味でまさにその通りだと思います。

具体的にやったこと

今回は実際にコロナ禍で苦境に立たされているイベント関連会社の方をクライアント役としてお招きし、参加者と一緒にワークショップに取り組んでもらいました。

イベント関連会社の今後の打ち手は色々と考えられるのですが、今回は限られた時間でのワークショップということもあり、リアルな空間でのライブ・コンサートとネット配信形式の併催を前提に、クライアントが所属する企業がその価値を発揮するために、誰のどの瞬間に注力すべきかを検討してもらいました。

前回に引きつづき、デザインスプリントの手法をベースにワークショップ用に手を加えています。

1.ビジネスの理解

事前に運営がクライアント役にインタビューした内容をもとにビジネスモデル・キャンバスを作成。それをベースに追加の質疑を行い、クライアントのビジネスへの理解を深めます。

2.スプリントクエスチョンの設定

プロジェクトの指針となる項目を決める。今回は、まずはクライアント役に決めてもらい、参加者がそれに意見する方式をとりました。

3.マップの作成

顧客やステークホルダーがサービスを利用するフローを簡潔なマップにまとめる。上図のようにmiro上にグリグリと作成していきます。
初めてマップを作る際は参考書籍の写真などを近くに貼っておくと完成イメージを共有して進められます。

4.顧客へのインタビュー(どうすればメモ)

消費者へのインタビューを聞きながら長期目標を達成するために必要そうな要素を「どうすれば〇〇できるだろうか?」という問いの形式で付箋にメモ。似通ったものをいくつかのグループにまとめ、それぞれのグループに見出しつけ整理。参加者による投票を行い、多くの表が入ったメモをマップに貼る。
似たような手法のKA法では「〜という価値」という形式でまとめますが、「どうすれば〜」という問いの形式のほうが一般的に馴染みが良いかも、と感じました。

この辺の整理は今回の参加者にはお手の物で、みるみる付箋が整理される。

5.課題定義

完成したマップを見ながら、参加者全員が「誰の」「どの瞬間」に注力すべきか意見を述べる。最後に決定者(今回はクライアント役が担当)が最終的な決定をくだし「誰の」「どの瞬間」それぞれに印をつけワークショップは終了。
実際は、ここで決定した課題を解決するために、どんなソリューションが必要かを考えていきます。

ふりかえり

短時間で課題の整理ができた。ゼロからサービスを考える際にはどうか?

短時間のワークショップでしたが、イベント業界に馴染みのない参加者が、課題や注力すべき課題についてクライアントと共通認識を作ることができました。これはわりとすごいことなんじゃないかと思っています。(参加者のみなさんが優秀、ということももちろんあります。)
また、結論に対するメンバーの納得感も高く、短期間での合意形成ができる的はデザインスプリントのメリットだと強く感じました。

ただ今回時間の都合上「オンラインライブ配信を行う」「オーディエンスへのインタビューを行う」という前提条件を設定し議論の方向を絞っていたこともあり、課題は整理できたものの、やや「So what?」な結論になってしまいました。個人的にこのクライアント役の方が所属する会社が最も意識すべきはアーティストかもしれない、、思うとこともあり、そのあたりもうちょっと上手いこと設計すれば良かったな・・・と反省しています。

また、振り返り会で「ど新規のサービスやゲームチェンジを考える場合にどうなのか?」という意見が上がっていたように、既存サービスの改善にはとても馴染むもの、新規でこれまでに無いサービスを検討していきたい!という場合にどうか、、という感覚はありました。ただ、この辺は、オブザベーション(観察)やKA法を取り入れ、ユーザーの潜在的な価値に注目する度合いを強めれば、変わってきそう。
また、本来はマーケティング担当・営業担当・開発担当・デザイン担当のように、異なる分野の専門家が集まって検討することが前提となる手法なので、そういった体制で実施できれば全く違う結果が生まれるだろうなという感触がありました。
(UXデザイナー向けのワークショップでは、当然UXデザイナーばかりが集まってしまう笑)

参加者の声

  • やはり重要なのは、解決策より課題定義だと実感できた。正しく課題定義できていないと解決策も的外れなものにしかならない。
  • 何も決まっていない状態から、目標や重要な指標のアタリを一意につけることができた
  • オンラインライブという前提条件があったので考えやすかった。反面、ど新規のサービスやゲームチェンジを考える場合にどうなのか?
  • 長期目標に対して、他にゴールがありそうな気がした
  • ユーザーインタビューが入ると課題への共感度が上がる
  • ビジネスする側の考えとユーザーサイドの意見を続けて聞けると両面から考えられて良い

オンラインワークショップTips的なこと

「役割決め」大事。

マップ作成のような複数人での同時進行が難しい作業では、発言をまとめる人、miroを操作する担当など「役割決め」が大事だと思いました。
これを決めないと、各自が意見を言うだけで、マップ作成が進まない笑
オフラインではホワイトボード用のペンの数に限りがあって、「私が書きましょうか、、」みたいに自然に役割が決まったりするのだけど、オンラインでは全員がペンを持っているため、より積極的に役割決めをする必要があるかなと思いました。

「発話」大事。

オンラインでは「うなづき」「相槌」「目配せ」のようなボディーランゲージが見えづらいので、感じた事を明確に発話することが大事だと思いました。
特に賛成の意思は普段より意識して声に出したほうが良いと思います。
「こうしませんか?」という提案があった際、おそらく皆うなずいていたりはすると思うのですが、オンラインでは微妙なリアクションは伝わらないので、提案者は「どっちやねん???」となります笑

参考資料みづらい問題

タブレットや、シングルモニタの環境でzoomとmiroを使っていると、その他の参考資料を見るのが面倒、、という意見がチラホラ。今回でいうと事前情報として提示したスライドや「長期目標」など。
比較的コンピュータの操作に慣れたデザイナー層が多いこのWSでもそんな感じなので、一般的なリテラシーの方だともっと混乱しそう。
現状はmiroに全部書いちゃう、とかが解決策かなぁ・・・。

参加者の声

  • オンラインだと各人のしている作業が見えないので、各自の役割を明確化したほうがよい
  • 長期目標を確認するのにMiroを移動するのが面倒で確認していなかった
  • 資料を参照する時に、画面をスイッチするコストがある
  • 画面共有中は自分がミュートかどうか見えづらい(メニューが常時表示されない)

おわりに

今回はクライアント役にもワークに参加いただき、消費者へのインタビューも実施するなど内容を詰め込みずぎて、かなり疲弊しましたがw、今回も得るものが多いワークショップでした。
クライアント役の方にも後日「考え方が供給側に偏り需要側の目線が無くなっていた事を痛感。あの日以降、視界が変わった。」といったコメントをいただき、やって良かったなと感じるとともに、UXデザインの手法が意識や視点の変容を促すことについても再認識できました。これは弊社としても重視しているポイントではあるため、とても嬉しかったです。

この会は継続してやってこうと思ってますので、ネタ提供いただける方がいれば是非ご相談くださいませ。「新しい生活様式」に対応するにあたり、課題整理や視点の変えたいなどなど、、お気軽にお声がけいただければと思います。

株式会社ナコード代表。 WEBサービスの事業会社や制作プロダクションを経て2018年に株式会社ナコードを設立。 主にWEBサイト・WEBサービス構築の領域で、UXデザインを活かした課題定義やプロジェクトマネジメントの領域で支援をしています。 人間中心設計専門家。