「意思決定」をテーマに、オンラインワークショップを実施しました

4/29(水)にXデザイン学校の有志で、オンラインのワークショップを実施しました。
自主的な学びの場があったほうが良いよなーと思っていたこと、コロナ禍でXデザイン学校の開講も先になりそうなこともあるので、なにかやりませんか?とマスターコースの方々を中心に声がけをしたのですが、快く応じてくれて開催することができました。

準備は思ったより大変でしたが、やってみてよかったです。
自分たちで課題を設定して、解決先を模索するのは得るものが大きいですね。
以下、実施してわかったことや、今後の課題をまとめます。

先に結論を書いてしまうと、わかったことは
最終的に決定者が意思決定をするとしても、そこまでのプロセスが大事だよね。
あと判断軸の明確化は重要。そのためにはそもそも「何が課題なのか?」を明確にする必要があるよね。有意義だったからまたやりましょう、といったことでした。

では、以下ご笑覧くださいませ。

やったこと

テーマは先日の振り返り会で各チームから上がっていた「チームの意思決定」としました。アイデアはたくさんでるけど、どのアイデアで進めるか決定できない、といった悩みです。
それを解決する方法として、デザインスプリントの「決定」フェイズのやりかたを試し、どの程度有効か、今後の活動に活かせそうかの議論を行いました。
デザインスプリントの「決定」は、意図的に議論を避け、合議ではなく「決定者」役の判断で採用するアイデアを決める、といった特徴があります。
あーだこーだ議論することにエネルギーを使うより、さっさと決めてプロトタイプ作って評価しようぜ!という考えかたに賛否はありますが非常に合理的です。

Design Sprint 概要 / デザインスプリント概要https://www.slideshare.net/takaumada/design-sprint

Xデザイン学校でも「リーダーを決めてどんどんすすめなさい。極端な話リーダーはだれでもいいし優秀である必要はない。決める役。現実世界でもそうでしょ?w」的なアドヴァイスはあったのでそれを実際に試してみた格好です。

具体的には、ウィズコロナ/アフターコロナ時代の自動車産業のあり方を検討課題とし、デザインスプリントの「理解」「発散」「決定」のプロセスを参考にしたワークショップを実施しました。
なお、利用したツールはzoom、miro、A4の紙とペンです。

1. 課題の理解

運営からウィズ/アフターコロナの基本的なインプットをしたあとに、各チームでウィズ/アフターコロナ時代の自動車産業に状況を整理。ステークホルダーやチャンスや危機を洗い出してもらいます。

この辺のワークに慣れた参加者が多かったので基本この時間は放置。ただし「こういうときって変化によって起こるネガティブな事ばかり挙がってしまうことが多いよねー」という指摘があったので、ポジティブな事も上げていこうねという仕掛けだけはしている。

2. アイデアのスケッチ

課題の整理ができたら、15分ほど各自でアイデアシートにまとめる時間をつくり、その後クレイジー8で発散。最終的にはストーリーボードにまとめてもらいました。この時間は各自で紙とペンを使った個人作業。オンラインワークショップでもこういった作業は無理にデジタル化せず、従来どおりの紙とペンを使うほうが良いですね。

3. ソリューションの決定

各自のストーリーボードにを、miroに貼りつけて、今回のキモである「決定」フェイズがスタート。

まずは、みんなのアイデアを見て、良いなとおもった箇所にシールを貼ったり疑問点を付箋にかきとめる「ギャラリーウォーク」。
参加者がどこに注目しているかを一目瞭然にすることで、次のレビューの時間を効率よく進める下地をつくります。しゃべらず静かに行います。

次にそれぞれの各自のストーリーボード3分間づつで評価する「スピード品評」。
進行役がストーリーボードを見ながら、サービス全体の流れをナレーション。注目があつまった部分や質問事項を整理し、最後にストーリーボードの作者が名乗りをあげて、補足をします。が、その時点で残り時間は15秒くらいしか残されていないので、自分のアイデアをプレゼンする時間はほぼゼロです。

こうやって各アイデアの理解をしたあとに、参加者により模擬投票を経て、最後に決定者によりどのアイデアを採用するかを決定します。

水色のシールがギャラリーウォークではられたシール。アイデアの注目されている部分がどこか、そうでもない部分がどこかが一目瞭然となる。

わかったこと

最終的に決定者が意思決定をするとしても、そこまでのプロセスが大事。

あらかじめ「決定者=決定する役割の人」を定め、方向性を素早く決めるというプロセス自体はとても好評でした。また、納得感も高かったようです。
その納得感の源泉としては全員のアイデアがしっかりとテーブルに乗って公平に評価されていることが挙げられていました。
プレゼンが上手な人やよく喋る人の意見が目立ってしまうことがありますが、そうでなく全員のアイデアが横並びでちゃんと評価されていることが納得感を増していたようです。発案者の印象や声の大小に関わらずアイデアを評価するのは、立場の異なる人たちが協働するにあたってとても大事なことだと思うので、こういったリアクションがあったのは個人的にはかなり収穫でした。
※なお自分のアイデアは自分でしか守れないということもあると思いますが、それはそれこれはこれかなと思っています。

評価指標の明確化は重要。そのためには「何が課題なのか?」を明確にする必要がある。

課題設定の解像度が低かったのは今回の一番の反省点でした。
元々決定のプロセスにフォーカスをあて始めたものなので、仕方がない部分はあったのですが、少なくとも事前に何について考えるかは共有し当日も運営から適切なインプットをすべきだったなと反省しています。

検討対象が広範であいまいなものだったため、アイデアが全体的に似通ったものになってしまったように思えます。決定のタイミングで「あれ?何を基準に判断したものか?」と一瞬戸惑ってしまうといったことが起きました。

なにをもって「良い解決法」とするかを明確にするのは、決定の納得感をつくるためのポイントだと思うのですが、そのために「何が課題なのか?」を明確にするかが重要であることに気付かされました

デザインスプリントでは、一番最初に「誰の」「どの瞬間」をターゲットにするかをズバッと決めるプロセスがあるのですが、今回はテーマと時間の都合でそれをすっ飛ばしていました。
参加メンバーから「次回はビザスクなど使用して専門家へのインタビューをし、課題の設定からやってもいいね。2Daysで。」というコメントもあり心強かったです。

その他オンラインWS特有のあれこれ

その他にオンラインワークショップ特有の話もいくつか。

まず、miroは便利だけど、ログインの障壁やユーザーの習熟度が結構壁になるので無理に使用せずに、Googleスライドなど慣れたツールを使用したほうが良いかもという意見は多く聞かれました。あと無理にデジタル化するより紙とペンでできることは、そのまま紙とペンで良さそうです。反面、オンライン・デジタルならではのやり方も探りたいところ。

また、「オンラインだと他人の意見にのっかるのが難しい。クレイジー8の内容をみんなで一度共有して、もう一回発散させても良いのでは?」という意見がありました。これは面白いし理にかなってますよね。次回試してみたいです。

あとBGM大事です笑

おわりに

色々と課題もあったのですが、みんなで企画段階からワイワイ楽しく進めることができてやってよかったなぁと感じています。
準備すること自体が自分自身の勉強にもなりますし、ワークショップ中の鋭い指摘も大きな学びになります。
ステイホームな時期はもう少しで終わりそうですが、リアルな場であつまる事はまだまだ難しそうなので、オンラインでできること、オンラインならではの事を今後も継続していければと考えています。

株式会社ナコード代表。 WEBサービスの事業会社や制作プロダクションを経て2018年に株式会社ナコードを設立。 主にWEBサイト・WEBサービス構築の領域で、UXデザインを活かした課題定義やプロジェクトマネジメントの領域で支援をしています。 人間中心設計専門家。